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アジアに広がる“中国発・カジノ経済圏”

2008/01/28


 昨秋、取材で香港を訪れた際にマカオへ寄る機会があった。初めての海外旅行で父に連れられて訪れた時以来だから、約20年ぶりの訪問になる。当時の記憶はもうほとんど残っていないが、この間の経済成長ぶりはすぐに見て取れた。

 マカオを代表する史跡であるセントポール天主堂跡では、かつて群がってきた土産物売りの子供たちの姿はもうどこにもなかった。香港とマカオを結ぶ高速フェリーは平日も満員で、土日になると2時間、3時間待ちは当たり前。当然、空席待ちの列も長くなる。筆者は船会社の従業員が客からわいろを取って優先的に乗船させる有り様まで目撃した。

 この地域の経済を支えているのは、観光客の5割以上を占める中国大陸からの訪問者である。共産党政権下の大陸では賭け事などもってのほかだが、ポルトガルの植民地時代からカジノで有名だったマカオは特別扱い。そこへ、住宅の値上がりなどで豊かになった北京、上海などの都市住民が大挙して押し掛けた。観光客数は年間2000万人を超え、いまや香港を抜く勢いだ。カジノの売上高でも本家ラスベガスをしのぐ規模になり、海外からの投資が過熱している。2007年8月に再開発地区でラスベガス資本が開業した巨大カジノホテル、ベネチアンは、今やマカオの人口の約15%を雇用しているという。

 今や大学を目指して勉強するよりも、手っ取り早く金を稼ぐために建設労働者になる若者が増えたため、大人たちからは地域の将来を憂える声が出ている。行政府が域外からの出稼ぎを規制していることもあり、彼らの賃金はうなぎ登りだ。子供まで物売りに励んでいた、貧しいころのマカオは完全に過去のものとなった。

 さて、この成功を見て2匹目のドジョウを狙っているのが観光立国のシンガポールである。離れ小島のセントーサ島には同国初のカジノのほか、ユニバーサル・スタジオや高級コンドミニアムなどが2010年に完成する。日本でも数年前から東京都や沖縄県のカジノ誘致構想が時おり話題になるが、一般には知事の思いつき程度に受け止められているようだ。マカオやシンガポールに匹敵する大規模カジノを今から国内に作るのは難しそうだが、中国マネーの受け皿を作るという観点からはもっとポジティブに検討されていいと思う。

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