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短期化する見積もり有効期間、デベロッパーに試練

2008/02/12

 建設費の見積もりの有効期間が短くなっている――。東京で収益物件の開発を手がける有力デベロッパーは、こう悲鳴を上げる。「少し前までは3~4カ月の有効期間だったが、いまでは1カ月だ。事業性を検討していたら、1カ月なんてあっという間に過ぎる。ゴーサインを出した時には、建設会社から『もうこの金額では受注できません』と言われてしまう」。

 原因は建設費の高騰だ。建築基準法の改正によって、建物の設計では安全側に鉄筋量を増やす傾向にあり、資材単価の上昇と併せて、資材購入にかかる総額が上がっている。さらに、建築確認をめぐる混乱と審査厳格化は着工を遅らせ、あやふやな工期が作業員と建設機械の確保にかかる費用を増加させた。この結果、デベロッパーに提示される建設費は、「半年前の2倍近くに跳ね上がり、さらに上がり続けている」という。

 ゼネコンからすれば「ひと月も経てば、以前の見積もり価格では採算が合わない」ということだろう。しかし、事業計画を立てるデベロッパーは大変だ。高値で土地を購入しているうえに、建設費が上昇し、さらに完成時期の遅れで借入金の金利負担ものしかかる。

 世界的な金融市場の動揺を受けてファイナンス環境が悪化するなか、都心のオフィスビルといえどもキャップレートは上昇している。「4%そこそこで取引が成立する物件は限られ、次第に5%に近づきつつある」(ファンド運用会社)。以前のような強気の価格設定をするわけにはいかない。デベロッパーにとっては、出口戦略を描きにくい、試練の時代に突入している。

三上 一大日経不動産マーケット情報

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