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気になるスルガコーポレーション物件の行方

2008/03/24

 今回の報道で、「地上げ」という言葉を久しぶりに聞いた読者も多いだろう。もちろん、東証二部上場の建設会社スルガコーポレーションと、その依頼で入居者の立ち退き交渉をした光誉実業の件である。

 警視庁の調べによると、スルガは暴力団とつながりの深い光誉実業に少なくとも150億円の金を払い、入居者を威圧する道具として偽の売買契約書を作ることまで手助けしたという。複雑な権利関係を整理して土地の価値を上げるという本来の語意からいえば、地上げは都市の再開発に不可欠な業務である。ただ、スルガの場合はやり方があまりにも露骨すぎた。

 スルガは、テナントが多く立ち退き交渉が長引きそうな古いビルや、所有権が細分化された土地の権利を、魔法のようにすばやくまとめることで知られていた。同社は建築請負契約付きで土地や老朽建物を転売する事業、社内用語でいう「不動産ソリューション事業」で急成長し、売上高を過去5年間で2倍に伸ばした。昨年でいえば、秀和紀尾井町TBRビルを365億円、ブックファースト渋谷店の入居ビルを220億円で売却した例がある。銀座・並木通りと大阪・御堂筋の土地売却では、それぞれ約140億円と約136億円の売り上げを計上している。都心の一等地で派手な動きが目立ったので、当局の目に留まったのだろう。

 さて、事件が明らかになった今、気になるのはスルガが手元に抱えている物件の行方だ。本誌が過去に掲載した取得物件としては、六本木の東京ミッドタウンに近い結婚式場であるT&G麻布迎賓館、溜池山王交差点近くのランディック赤坂ビルなどがある。ほかには表参道のハナエモリビル前の建物や、銀座・中央通りの資生堂ビル裏手にある建物、沖縄のリゾート用地、モンゴルの大規模な住宅用地も保有している。今後は、投資家や銀行からスルガへの資金回収圧力が高まり、同社が物件を売り急ぐシナリオも考えられる。

 もっとも、この状況下で買い手を見つけるのは容易ではなさそうだ。事件が報道される直前、外資系の大手不動産会社の担当者は「スルガ物件にはコンプライアンス(法令遵守)面でリスクがあり、怖くて手を出せない」と話していた。業界内の噂で、同社との取引が間接的に暴力団を利する可能性に気づいていたわけだ。今後、警視庁とマスコミから徹底的に叩かれてクリーンになったスルガから物件を買う企業が現れるとしても、しばらく時間がかかるだろう。

 今後の不動産取引では売り手と買い手の双方で“身体検査”が盛んになるはずだ。しかし筆者は、スルガコーポレーションほど以前から闇社会とのつながりが噂されていた会社を知らない。業界の名誉のために言うと、バブル期を彷彿とさせる同社の事例はあくまでも例外だと考えている。

本間 純日経不動産マーケット情報

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