【市場展望】拡大続ける不動産市場(シリーズ第3回)/投資利回り低下に懸念の一方、投資家の強気を支える賃料上昇

2007/01/11

日経不動産マーケット情報

丸の内・大手町地区のオフィス投資環境の推移(クリックで拡大表示)
丸の内・大手町地区のオフィス投資環境の推移(クリックで拡大表示)

不動産投資市場が世界的に拡大している。2006年の直接投資金額は69兆円に達し、過去最高を記録する見通しだ。アメリカに次いで世界2位の市場規模を誇る日本にも、資金が流れ込んでいる。市場の透明性の向上や潜在的な投資対象不動産の多さが、これを後押しする。投資利回りの低下、金利の上昇といった懸念をはらみつつも、日本の投資市場は拡大を続けている。その様子を4回のシリーズでお伝えする。(三上 一大)

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 世界的な投資プレーヤーであるモルガン・スタンレーは日本の市場について、「他の国と比べて、相対的に成長する余地がある。賃料の上昇を期待できることが一番の理由だが、これに加えて、非効率に運用されている不動産が他の先進国に比べて多いことも理由に挙げられる。不動産を本業としない人たちが優良な不動産をまだたくさん所有していて、その価値を最大限には引き出していない」(不動産投資銀行部の坂口英治マネージングディレクター)とみる。

 ドイツ銀行グループの不動産投資部門(RREEF)が日本のセール&リースバック市場のポテンシャルを算定したところでは、投資に適した不動産ストックはおよそ165兆円で、うち60兆円以上はいまだに一般の事業会社などが所有している状況だ。

 ただ足元をみると、日本の不動産市場ではキャップレートがかなりの低水準まで落ちている。上の図は丸の内・大手町地区にある大型ビルの投資環境の推移を示したものだ。折れ線は投資家へのアンケート調査によって導き出した期待利回りと、不動産投資に対するリスクプレミアムだ。いずれも低下を続けており、実際の取引は当然、これよりも低い水準となっている。

 これを賃料水準の上昇がカバーしている。不動産は景気循環的な市場であり、上昇と下降を繰り返して進んでいくが、東京はまだ賃料上昇トレンドの途上にある。2007年以降、緩やかな金利上昇が見込まれているが、急激な投資環境の変化は起きないだろうと専門家の多くはみている。

 オーストラリアのREITにあたるLPT(Listed Property Trust)が相次いで日本の不動産を投資対象としているように、資金の流入は今後も続く。安定運用型のファンドへの移行や、企業買収を通じた不動産取得の増加、ローン債権を証券化したCMBSの発行拡大といった変化を遂げながら、しばらくは日本の不動産市場の活況は続くだろう。

(レポートの全文を「日経不動産マーケット情報」2007年1月号に掲載しています)

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