日経アーキテクチュア
本誌のデジタル版(HTML)
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2014年11月10日号
地方があえいでいる―。人口減少という荒波で自治体が消え去る恐れすらある。無秩序な拡大を続けてきた市街地を単に集約するだけでは、もはや都市は救えない。「地方創生」を掲げて、政府は新組織を発足。地方の再建に本腰を入れ始めた。建築実務者は、「地方創生」に何ができるか。民間が主導する「攻め」の地域再生が、そ…
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2014年10月25日号
本格的な人口減少時代を迎え、学校の施設運営が転換期を迎えている。今や自治体の財政は火の車。学校を中心とする公共建築の維持・更新費は大きな負担になっている。難局を打開するには、施設の複合化や運営の民間委託など総事業費抑制の視点が欠かせない。同時に、地域コミュニティーの拠点として生徒や教職員だけでなく住…
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2014年10月10日号
「つくれない図面は要らない」。工事費高騰や職人不足を背景に入札不調やプロジェクト中止が相次ぐなか、一連の建築生産プロセスで実施設計がボトルネックになっているとの認識が広がっている。危機感を抱く発注者は、品質、コスト、工期を適切化するための発注方式を模索。設計・施工分離が原則の公共建築でも、実施設計業…
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2014年9月25日号
「脱・nLDK」─。奇抜な住宅プランについて建築家が語るとき、よく口にする言葉だ。「大量生産による規格型住宅」への反発は今も根強い。だが、そうして生まれた「脱・nLDK」型の住宅の多くもまた、社会全体の成長を背景にしたものであった。時代は成熟期へと移った。シェア居住や環境重視など、成長期とは明らかに…
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2014年9月10日号
東京五輪という“劇薬”で、建築界に異変─。建設大手5社の収益がばらける…、設計事務所は3カ月ごとに経営環境が激変する…。堅調な建設投資によって各社の業績は好調だが、その序列は崩れつつある。五輪や職人不足を背景にデザインビルド方式が増加。設計プロセスも変わりそうだ。五輪後に国内市場は縮むことが予想され…
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2014年8月25日号
超高齢社会を背景に、街づくりに欠かせなくなった高齢者・医療施設。その施設のイメージが変わろうとしている。閉ざされがちだった施設は街に開かれ、街ににぎわいをもたらす“交流拠点”の役目を持ち始めた。だが、建物をつくるだけでは、にぎわいは生まれない。成功のカギはどこにあるのか─。高齢者・医療施設を中心とす…
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2014年8月10日号
「つながり」や「連携」が重要であることは論をまたない。時として、個の力では解決できない道を開く。しかし、ややもすれば横並びを気にするあまり、日和見を生み、停滞の温床となりかねない。閉塞の壁を突き崩すには、つながりや連携だけでなく、敵をつくることを覚悟で闘いを挑む決意も必要だ。本特集では近年、他界した…
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2014年7月25日号
耐久性と美観に優れた仕上げ材でありながら、落下リスクという大きな弱点を抱えるタイル張り。しかし、新たな工法の採用で、弱点を克服する取り組みが広がっている。脚光を浴びているのが、モルタルに代えて有機系接着剤でタイルを張る方法。材工費はモルタルより3割増しだが、安全性が評価され選択する企業が増えている。…
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2014年7月10日号
2020年東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場。基本設計案が公表されたのは当初予定から2カ月遅れとなる5月末だった。工事費が当初想定を上回り、規模の縮小を検討するなど二転三転。市民や建築の専門家などからは計画への疑問や批判の声が相次いでいる。問われる巨大施設の公共性。迷走する「新国立」はどこ…
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2014年6月25日号
地方都市で地元の木材を使う建築のニーズが高まっている。木材自給率を高めたいと考える国の施策が追い風となり、従来は鉄骨造や鉄筋コンクリート造でつくられてきた中・大規模の建築に“木造化の波”が押し寄せている。しかし、その実現は簡単ではない。他構造と異なり、木造はまず「素材ありき」。その性能を引き出すには…
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2014年6月10日号
木造防耐火の家づくりに新しい流れが生まれている。2000年の建築基準法改正を機に中高層建築物でわき上がった木造への期待は、余波となって住宅市場にも現れ始めている。告示や大臣認定の仕様を駆使して、木造防耐火の家づくりに挑む設計者も増えてきた。最新事例から、木造ならではのコツを学ぶ。
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2014年5月25日号
相次ぐ品質トラブルの発覚に建築界が揺れている。本誌が建築実務者を対象に実施した緊急アンケート調査では、86%が「今後、品質トラブルが増える」と回答した。忍び寄る品質崩壊の足音。危機感を抱く背景には、品質を確保する最後の砦である施工の現場の弱体化がある。現場力の再生へ、対策は待ったなしだ。
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2014年5月10日号
東京都が大規模建築の屋上緑化を義務化してから13年。単年の施工面積は頭打ちとなり、「緑化は衰退基調か」ともいわれている。そうしたなか、注目すべき緑化プロジェクトが相次ぎ完成しているのが大阪だ。かつては「緑のない大都市」とのマイナスイメージが強かったが、ビル単体の緑化から脱し、都市に連続する緑の創出に…
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2014年4月25日号
構造的な職人不足に伴う労務費高騰が、日本の建築生産を根底から揺さぶっている。被災地や首都圏の公共建築では、入札不調や設計案の白紙撤回が続出。民間建築でも工事の遅延や凍結が相次いでいる。上げ潮基調の日本経済に水を差しかねない。この状況を立て直すには、職人の待遇改善と人手のかからない省力化工法の展開が急…
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2014年4月10日号
天井はいつ落ちてくるか分からない。東日本大震災で社会問題化した多数の天井崩落事故。その対策として、国が定める天井の脱落防止に関する技術基準への対応が4月1日から義務付けられた。構造だけでなく、意匠や設備も対応を迫られる。だが、法制度の整備はあくまでも最初の一歩。安全確保はたやすいことではない。安心空…
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2014年3月25日号
大地震などの災害に備えた住宅の設計に当たっては、災害後の生活困窮まで視野に入れ、被害をいかに抑えるかという「減災」の考え方が重要になってきた。仮に地震で倒れない住宅をつくっても、電気や水が断たれれば生活はできなくなる。3年前に起こった東日本大震災の経験を踏まえて、さまざまな工夫を盛り込んだ減災住宅が…
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2014年3月10日号
東日本大震災から3年が経過し、被災地の高台移転がようやく本格化してきた。そのプロセスのなかで、課題や問題点が浮き彫りになりつつある。膨大な業務量にコストの精査が追いつかない現実や、そもそも高台移転が効率的な投資になりにくいという構造も見え隠れする。そうした矛盾をどう克服するか、様々な取り組みが展開さ…
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2014年2月25日号
変革の時が来た──。長い低迷期を抜け、建築需要に明るさが戻った今こそ、様々なチャレンジの好機。バブル経済崩壊後に建築に飛び込んだ世代を中心に、建築の定義を変える取り組みが目立ち始めた。ある者は新たな事業や縮小時代の汎用住宅を開拓し、ある者はデジタルツールを駆使して設計法自体の転換をもくろむ。復興、地…
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2014年2月10日号
省エネに向けて、日本の窓にはまだまだやれることがある─。欧州はもとより中国などにも立ち遅れていた断熱性能を改善し、設備機器だけに頼らず、窓まわりの工夫で省エネに取り組む動きが活発化している。すべての建物に省エネ基準への適合が義務化される2020年に向けて意匠設計者の手が届く範囲でまだやれることがある…
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2014年1月25日号
今なお意匠設計者の間で根強い人気があるコンクリートの打ち放し。しかし、安易に導入すると美観や耐久性が短期間で損なわれ、クレームを受けることになりかねない。それを避けるには、設計段階から汚れが付きにくいディテールを考え、高耐久・低汚染の塗料を導入することがポイントだ。初期投資が多少割高でも、トータルで…