日経アーキテクチュア
本誌のデジタル版(HTML)
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2013年2月25日号
高齢者介護施設が変わり始めた。自宅に住む高齢者に介護サービスを提供できるよう、街なかに建つ施設が増えている。小規模・分散化を図りつつ、カフェや集会所などを併設して地域住民の利用を促進。街ぐるみで支える在宅介護時代の地域拠点として進化している。高齢者の雇用創出まで見据えて新たな街づくりに取り組む動きも…
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2013年2月10日号
旧赤坂プリンスホテルや旧日本長期信用銀行本店ビルなど時代を彩った建物が、完成から30年足らずで相次いで解体される。躯体の耐久性を高め、設備などを更新しやすくしておけば、建物を長寿命化できるはずだったが……。地価の高い都心のビルでは、こうした建築界の常識が通用しなくなってきている。建築主の事業計画が途…
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2013年1月25日号
2011年から本格的に始まった人口減少時代。そのテンポは今後加速し、財政難や高齢化と相まって、建築・都市に大きな変革を迫る。公共施設の統廃合や機能見直しは必須だ。空き家対策も重要さを増す。しかし、必ずしも悲観的になる必要はない。建築・都市の再編は、建築専門家に新たな役割を求める。マイナスイメージが浮…
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2013年1月10日号
エネルギー事情の急速な変化が、建築物の“燃費”の向上を迫っている。政府は12年12月、低炭素建築物認定制度を創設。13年4月には新たな省エネ基準が施行される。これは、引き続き強化される省エネ規制の序章にすぎない。変革の芽はすでに生まれつつある。「低燃費建築」への挑戦が始まった。
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2012年12月25日号
渋谷ヒカリエなど大規模オフィスビルが相次いで完成した2012年。供給された総延べ面積は、オフィスの大量供給が話題となった03年以来の高水準だ。東京都心部では移転の連鎖によって、基準階面積がおおむね330m2(100坪)未満の中小オフィスビルの空室率は12%前後に上昇。5%を超えると「借り手市場」とい…
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2012年12月10日号
機械の空調に頼らず、自然の力を利用して快適な温熱環境を実現する「パッシブ住宅」への関心が高まっている。セラミック製のルーバーに打ち水をして涼を得たり、潜熱蓄熱材を活用して冬の夜でも暖かさを保ったりと、挑戦的な試みが展開されている。計測機器や評価ソフトの進歩で、効果も定量的に把握できるようになり、高い…
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2012年11月25日号
地域再生に住民参加を取り入れる事例に注目が集まっている。核となるのは「デザインを決める」従来型のワークショップではなく、住民のアイデアを引き出し、完成後の運営主体を育成する取り組みだ。建築家の内藤廣氏が10年をかけてじっくりと住民のやる気を醸成した石川県・山代温泉のプロセスと、山崎亮、乾久美子両氏の…
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2012年11月10日号
世界各国の学生チームが環境配慮型の住宅を建てて、性能を競い合う国際大会「ソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012」がスペインで開かれた。同大会に千葉大学のチームが日本から初めて参加。積水ハウスなど60以上の企業や団体の協力を得て、日本の家づくりを世界に提案しようと挑んだ。ところが、結果は出場した18…
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2012年10月25日号
周辺アジア諸国を巻き込んだ厳しい国際競争が、日本の空港経営の在り方を根本から揺さぶっている。今や航空会社が就航地や運賃を選べる時代。従来のドンブリ勘定的な空港経営では、厳しい国際競争で生き残れない。急速に勢力を拡大する格安航空会社への対応、ターミナル内の商業施設の充実、周辺地域と連動した街づくり…。…
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2012年9月25日号
大手建設会社が先行する形で「BIM」が急速に普及し始めた。設計事務所の間でも、国土交通省の試行プロジェクトをきっかけに、一気に広がる気配だ。本誌が行った調査では、既に導入している会社が過半を占めた。建築生産の流れを大きく変えるといわれるBIM。それは手描き図面、CADに続く、情報伝達の“第3の変革”…
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2012年9月10日号
住宅の建て主のニーズが変わり始めている。構造や耐震性能を優先する人が目立って増加。従来のように、平面図や断面図の計画が固まってから、構造設計者に安全性を検討してもらうのでは、建て主の要望に対応できない。計画の早い段階で意匠と構造がタッグを組み、それぞれを両立させる取り組みが不可欠だ。(瀬川 滋、松浦…
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2012年8月25日号
人口減少に悩む地方都市の旧中心街や駅前。かつて街のシンボルだった商業ビルを需要に合わせた床面積に減築したり、公共施設などに用途変更したりして再生する事例が増えてきた。ハードの再整備手法から、権利の整理など事業推進手続きに至るまで、そのメリットや課題を浮き彫りにし、再活性化の処方箋を探る。(樋口 智幸…
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2012年8月10日号
木造住宅の反転という前代未聞の被害をもたらした今年5月の竜巻は、建築実務者に耐風設計の重要性を改めて知らしめた。一方で、台風によっても屋根の脱落や外装材の損傷事故が毎年繰り返し発生している。竜巻とは違い、設計風速以下の風による事故がほとんどだ。近年発生した強風被害の分析を基に、耐風設計の落とし穴と解…
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2012年7月25日号
電気自動車の登場が、住宅設計のあり方を大きく変えようとしている。ガソリン車と違って、電気自動車は排気ガスも出さないし火災のリスクも小さい。これまでのように、居室と離れた場所に置く必要はなくなり、室内に取り込んで介護や荷物の運搬に利用できる。特に、大きな変化が生まれそうなのが、集合住宅の間取りだ。大手…
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2012年7月10日号
将来の巨大地震にいかに備えるか。構造安全性、非常用電源、防災備蓄。超高層ビルに対する要求性能が、東日本大震災を受けて高まっている。新築物件が最新の防災技術をアピールする一方、既存物件は長周期地震動対策が本格化。建て替えの動きも相次いでいる。都市の安全確保へ。超高層再生に向けた取り組みが始まった。(佐…
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2012年6月25日号
太陽光パネルそのものを、住宅の屋根にする、ビルの窓にする、屋上の防水シートにする……。さまざまな形で、太陽光パネルと建材の一体化が進んでいる。この動きは、床面積100m²の戸建て住宅から、5万m²を超える超高層ビルまで、あらゆる規模でダイナミックに広がっている。どれも、建物内の電…
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2012年6月10日号
周囲からの「見守り効果」を設計に推奨する、新しい基準が広まりつつある。ピッキング対策錠や防犯カメラが普及。2003年には全国で約19万件だった住宅の侵入被害の認知件数は、11年には7万件弱に減ったものの、防犯仕様の窓ガラスでも破られる例が出てきた。こうした犯罪を防ぐ上で効果的なのが、近隣や通行人の視…
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2012年5月25日号
東京スカイツリーが5月22日に開業した。話題のビッグプロジェクトには挑戦的な技術が満載だ。一見、別世界の話のように思えるこれらの技術だが、今後の建築計画に影響を及ぼしそうなものが少なくない。例えば、世界初となる「心柱制振」は、吹き抜け空間のある超高層ビルなどで応用可能だ。スカイツリーのために開発した…
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2012年5月10日号
近年、都市部の百貨店で大規模なリニューアルが相次いでいる。そんな中、専門量販店と協力した店づくりや業界のタブーである店舗設計に挑む百貨店が出てきた。一方、地方の百貨店では自治体や地元商店街と共に街づくりの再生から始めようという動きがある。消費者の百貨店離れを食い止めることができるのか正念場に差し掛か…
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2012年4月25日号
なぜ、落ちたのか。3月26日、朱鷺メッセ連絡通路落下事故を巡る訴訟の判決が下された。7年以上にわたる裁判の結果は、「事故原因が立証できない」として原告の新潟県の訴えを棄却するもの。原因究明は進まず、責任の所在も不明のまま。当事者に金銭的、精神的負担がのしかかった。問われた事故調査の中立性、露呈した裁…